地域学からの出発
2015年04月24日 有馬 啓介
中世の面影が残る佐島の町並み(昭和35年撮影、村上和馬氏提供)
豊かに生きるとは、どのようなことなのでしょうか。
昭和20年代、敗戦の傷跡は、列島各地に色濃く残っていました。しかし、日本は短期間で奇跡的な発展を遂げ、経済大国と呼ばれるまでになりました。生活様式は欧米化し、食にも不自由しなくなりました。人々は、現金収入を得るために都市へ集中し、発展の原動力となりました。一方、人口流出が加速した農村や山村・漁村は、産業が衰退し、地域文化の担い手も不足しました。文化には「記録の文化」(歴史)と「記憶の文化」がありますが、その多くが世代を超えて継承された「記憶の文化」です。
平成26年度に上島町教育委員会では、愛媛県教育委員会と連携・協働で「ふるさと愛媛学」普及推進事業「ふるさと愛媛学」サポーター養成講座を開講しました。計3回の講座では、上島町の昭和時代の生活や文化、産業等に焦点を当て、「ふるさとらしさ」を発見、再確認するための地域調査の方法を学習しました。そして、町民の皆様のご協力をいただき、調査報告書をまとめることができました。
今は地方の時代と言われていますが、地域で豊かに生活するためには、その土地の歴史や文化を学び大切にし、継承することが必要です。地域学は、地域を活性化し、新たな地域づくりを実践するための出発点です。次号の広報から、昨年度の調査成果を連載いたします。この連載を皆様の地域学の端緒にしていただけると幸いです。